分布負荷

2021年9月8日

SATの電験2種講座

分布負荷について

配電線路の負荷は一般的に末端に集中していなくて、線路に沿って分布しています。

よって、末端に近づくほど配電線路を流れる電流が小さくなっていき、線路の電圧降下により線間電圧も下がっていく。文字だと分かりにくいので図で説明すると・・・下図のような感じです。

めちゃめちゃ極端な例ですが、手前の負荷は6600[V]で受電出来ているのに対して、末端は線路の電圧降下によって6000[V]での受電となっています。

このような負荷の分布に関する問題が電験2種では出題されます。

 

分布負荷の問題パターン

問題のパターンは大きく分けて2パターンあります。

point!

①負荷電流がどの点でも同じ

②負荷電流が直線的に変化する

まとめると下図のような感じです。

問われる内容については

【パターン①】では、給電点PをAにしたときと中央にしたときの線路での電圧や電力損失を比較する問題

【パターン②】では、AP間の電圧降下とBP間の電圧降下を等しくする点Pの位置や、給電点をAにしたときとBにしたときの電力損失を比較する問題などが挙げられます。

いずれの問題も積分を使って解くのが王道パターンになります。

 

問題を解くときの方針

問われる内容がある程度パターン化されているので次のような流れでほとんどの問題を解くことできます。

point!

負荷電流を距離の関数で表す。

①式を距離で積分し線路電流を距離の関数で表す。

②式を距離で積分し電圧降下や電力損失を求める。

たったこれだけです。とってもシンプルでしょ?下図のようなイメージが頭の中にあるとOK!!

 

問題パターン

問題のパターンはそれほど多くないので以下の記事にまとめておきます。

平等負荷で端から給電した場合

平等負荷で中央から給電した場合

直線的に変化する負荷で低負荷側から給電した場合

直線的に変化する負荷で高負荷側から給電した場合

直線的に変化する負荷でAPとBPの電圧降下が等しくなる場所から給電した場合

上記5パターンを理解すると多少問題を捻られても応用力でカバーできるかと思います。

ちなみに上記5パターンの結果をまとめておくと以下の表のようになります。

平等負荷

端から給電 中央から給電
電圧降下 AB間

\(\frac { 1 }{ 2 } IrL\quad [V]\)

AP間=BP間

\(\frac { 1 }{ 8 } IrL\quad [V]\)

電力損失 AB間

\(\frac { 1 }{ 3 } { I }^{ 2 }rL\quad [W]\)

AB間

\(\frac { 1 }{ 12 } { I }^{ 2 }rL\quad [W]\)

電力損失(%) \(100{\%}\) \(25{\%}\)

直線的に変化する負荷

低負荷側から給電 高負荷側から給電 左右の電圧降下が等しくなる位置から給電
電圧降下 AB間

\(\frac { 1 }{ 3 } Ir{L}^{2}\quad [V]\)

AB間

\(\frac { 1 }{ 6 } Ir{L}^{2}\quad [V]\)

AP間=BP間

\(\frac { 4 }{ 81 } Ir{L}^{2}\quad [V]\)

電力損失 AB間

\(\frac { 2 }{ 15 } { I }^{ 2 }r{L}^{3}\quad [W]\)

AB間

\(\frac { 1 }{ 20 } { I }^{ 2 }r{L}^{3}\quad [W]\)

AB間

\(\frac { 4 }{ 243 } { I }^{ 2 }r{L}^{3}\quad [W]\)

電力損失(%) \(100{\%}\) \(37.5{\%}\) \(12.34{\%}\)

上の表は結果を導出できなければ勿論ダメなのですが、その結果がどうなるかの結論を予め覚えておくことでミスを防ぐことが出来るのでまぁ・・・軽く覚える程度でOKだと思います!

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