電線のたるみ
電線のたるみ
電線のたるみD[m]は下図のように両支持点間に高低差が無い電線において、水平線ABと電線の最下点との距離を示している。
また、たるみD[m]は図中の文字を用いて
で表されます。また、電線の長さL[m]は
で表されます。
電験2種ではたるみDの公式の導出が何度か出題されているので導出の方法を覚えておきましょう。
たるみの式の導出
まずは、上図の電線が描く曲線を放物線(二次関数)として近似して次の式で表します。
$$Y={ a } { X }^{ 2 }…①$$
この式をXで微分したものは任意の点における傾きを示します。
$$\frac { dY }{ dX } =2aX…②$$
【傾きについて補足説明】
任意の点における傾きというのはその点の接線のXの増加量に対するYの増加量のことです。
下図のように電線のX座標がqとなる点では②式より傾きが2aqとなり、青の接線はX座標方向に1進むごとにY座標方向に2aq進む傾きということになります。
【補足説明終わり】
よって、電線のX座標がpとなる点の傾きは②式より2apとなります。…③
単位長さあたりの電線の重量をW[N/m]、支持点における電線の水平張力をT[N]とすると
電線のX座標がpとなる点にはたらく力は下図のようになります。
支持点における電線の水平張力をT[N]とした場合、電線のどの点をとっても接線方向の張力はT[N]となることを覚えておきましょう。
次に、θがとても小さい場合
$$sin\theta =tan\theta $$
とすることが出来ます。(この辺りは大体問題文に書いてあります。)よって、
$$\frac { Wp }{ T } =\frac { Wp }{ ? } $$
なり、?=T[N]と表せます。(変な感じがしますが近似なのでOKです)
※ちなみに、三平方の定理で?を求めるとドツボにはまりますのでやめときましょう笑
よって電線のX座標がpとなる点の傾きは③式を用いて
$$2ap=\frac { Wp }{ T } $$
$$a=\frac { W }{ 2T } …④$$
④式を①式に代入すると
$$Y=\frac { W }{ 2T } { X }^{ 2 }…⑤$$
ここで、⑤式に支持点の座標を代入します。
$$\begin{cases} Y=D \\ X=\frac { S }{ 2 } \end{cases}$$
$$D=\frac { W }{ 2T } { \left( \frac { S }{ 2 } \right) }^{ 2 }$$
$$D=\frac { W{ S }^{ 2 } }{ 8T } $$
というわけでたるみの式が導出できます。
ポイントは
・電線の任意の点にどういう力が働いているか。
・任意の点について張力(2力の合力)が水平分力に等しいと近似すること。
この辺りだと思います。一度自分で導出するときっと忘れないと思うので、まずは白紙の状態から変数定義まで全て自分の力で書いてみましょう。