制御系の安定判別(ラウスの安定判別)

2021年9月8日

SATの電験2種講座

前回に引き続き、今回も制御系の安定判別を行っていきましょう!

ラウスの安定判別

ラウスの安定判別もパターンが決まっているので以下の流れで安定判別しましょう。

 

point!

①フィードバック制御系の伝達関数を求める。(今回は通常通り閉ループで求めます。)

②伝達関数の分母を使ってラウス数列を作る。(ラウスの安定判別を使うことを宣言する。)

③ラウス数列の左端の列が全て正であるときに安定であるので、そこから安定となる条件を考える。

 

ラウスの数列は下記のように伝達関数の分母が

$${ a }{ s }^{ 3 }+b{ s }^{ 2 }+c{ s }^{ 1 }+d{ s }^{ 0 }$$

のとき下の表で表されます。

この表の1列目が全て正であれば安定ということになります。

上から3つ目のとこだけややこしいのでここだけしっかり覚えましょう。

覚え方はすぐ上にあるb分の赤矢印青矢印です。

 

では、今回も例題を使って解説していきます!

 

例題

図のようなフィードバック制御系が安定となる条件を求めよ。

 

【解き方】

まずは、伝達関数\(\frac{Y(s)}{R(s)}\)を求めましょう。

$$\frac { Y(s) }{ R(s) } =\frac { ({ K }_{ 1 }+\frac { { K }_{ 2 } }{ s } )\frac { 1 }{ s(s+1) } }{ 1+({ K }_{ 1 }+\frac { { K }_{ 2 } }{ s } )\frac { 1 }{ s(s+1) } } $$

$$\frac { Y(s) }{ R(s) } =\frac { ({ K }_{ 1 }s+{ K }_{ 2 }) }{ { s }^{ 2 }(s+1)+({ K }_{ 1 }s+{ K }_{ 2 }) } $$

$$\frac { Y(s) }{ R(s) } =\frac { ({ K }_{ 1 }s+{ K }_{ 2 }) }{ { s }^{ 3 }+{ s }^{ 2 }+{ K }_{ 1 }s+{ K }_{ 2 } }…①$$

ということで伝達関数完成です。ここからはラウスの数列を作っていきます。数列を作る前に

point!
「①式よりラウス数列を作成すると下の表のようになる」と宣言しましょう。

※ちなみに、宣言は採点者が分かるように書けばどのように書いてもOKです。ラウスの安定判別を使う事がちゃんと伝わればそれでOKです。

ラウスの数列は①式の分母の部分に着目して、作成すると

1列目 2列目
$${s}^{3}$$ $${ 1 }$$ $${ K }_{1}$$
$${s}^{2}$$ $${ 1 }$$ $${ K }_{2}$$
$${s}^{1}$$ $$\frac { 1×{K}_{1}-1×{K}_{2} }{ 1 } $$ $${0}$$
$${s}^{0}$$ $${K}_{2}$$ $${0}$$

制御系が安定となる条件はラウス数列の一列目が全て正であればよいので、

$${ K }_{ 1 }-{ K }_{ 2 }>0\quad ,\quad { K }_{ 2 }>0$$

これを一つにまとめて(条件が複数になる問題もあるので絶対にまとめる必要はありません)

※まとめ方が分からない場合は↑のままでも○はもらえると思いますがスッキリするのでまとめておきます。

$${ K }_{ 1 }>{ K }_{ 2 }>0$$

であれば制御系が安定ということが分かりました。

 

というわけであっという間に終わりました。とりあえずラウスの数列を覚えてしまえばOKなのでナイキスト線図よりは簡単かと思います。要点をしっかりおさえて短期間の会得しましょう。

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