制御系の安定判別(ナイキスト線図)

2018年12月10日


安定判別とは

フィードバック制御系において、外乱(外からの影響)や目標値の変化によって振動が生じたとき、

その振動が減衰する場合→その制御系をとよびます。

その振動が持続振動(振動が続く)や発散振動(振動が大きくなる)場合→その制御系を不安定とよびます。

このような制御の安定や不安定などを判別することを安定判別とよびます。

電験2種では、制御系が安定となる条件を求めたり、安定と不安定の丁度境目である安定限界となる条件を求める問題が出題されます。

安定判別は、

  1. ナイキスト線図を用いた判別
  2. ラウス数列を使った安定判別
  3. フルビッツの行列式を使った安定判別

の3つがありますが、覚えるのは1と2だけで良いかと思います。何故ならラウスとフルビッツは問題で指定されることがほぼ無いからです。ですが、フルビッツも言うほど難しいわけではないので余裕があれば勉強しておくといいかもしれません。

 

ナイキスト線図

ナイキスト線図は実数軸と虚数軸を用いた、いわゆる複素平面上のグラフで以下の手順で描かれます。

 

point!

①一巡伝達関数G(s)をG(jω)にし、このωを0→∞まで変化させたときのグラフを複素平面上に描く。

②ωを0→∞まで変化する際に、

・複素平面上にて(-1,j0)をに見ていれば安定

・複素平面上にて(-1,j0)を通れば安定限界

・複素平面上にて(-1,j0)をに見ていれば不安定

 

という流れで判別します。

ちなみに一巡伝達関数は、これまでの単元で求めてきた閉ループではなくて開ループなので注意。

文字で説明すると難しいので例題で詳しく説明します。

 

例題

図のようなフィードバック制御系がある。この制御系のナイキスト線図を描き、安定性を調べよ。

 

【解き方】

まず、開ループ伝達関数を求めますが、開ループというのは下図の赤矢印で表される部分になります。

よってG(s)H(s)が開ループ伝達関数になります。

$$G(s)H(s)=\frac { 5 }{ (s+1)(s+1.5)(s+2) } $$

これの全てのsをjωに置き換えます。

$$G(jω)H(jω)=\frac { 5 }{ (1+jω)(1.5+jω)(2+jω) } $$

やばそうな計算の匂いがプンプンしますが、分母を実数にする為に、分母の共役複素数を分母と分子にかけましょう。

$$G(jω)H(jω)=\frac { 5(1-jω)(1.5-jω)(2-jω) }{ (1+jω)(1.5+jω)(2+jω)(1-jω)(1.5-jω)(2-jω) } $$

分子を気合で展開します。

$$G(jω)H(jω)=\frac { 5(3-6.5jω-4.5{ ω }^{ 2 }+j{ ω }^{ 3 }) }{ (1+{ ω }^{ 2 })(2.25+{ ω }^{ 2 })(4+{ ω }^{ 2 }) } $$

実数部をx、虚数部をyとおくと

$$x=\frac { 5(3-4.5{ ω }^{ 2 }) }{ (1+{ ω }^{ 2 })(2.25+{ ω }^{ 2 })(4+{ ω }^{ 2 }) } ,y=\frac { 5ω(-6.5+{ ω }^{ 2 }) }{ (1+{ ω }^{ 2 })(2.25+{ ω }^{ 2 })(4+{ ω }^{ 2 }) } …①$$

ここからグラフにプロットする為の点をいくつか求めていきます。基本的には

  • ω=0
  • ω=∞
  • x軸との交点→虚数部y=0となるωを求め、このときのxを求める。←安定判別に使用
  • y軸との交点→実数部x=0となるωを求め、このときのyを求める。

この4つを求めればグラフは描けます。

ω=0のとき

$$x=\frac { 5×3 }{ 1×2.25×4 } =1.67\quad ,\quad y=0$$

ω=∞のとき

$$x=0 , y=0$$

【x軸との交点】

y=0となるωは

$${ ω }^{ 2 }=6.5$$

$$ω=\sqrt { 6.5 } ≒2.55$$

このωを①式のxに代入するとx=-0.19となる。(計算省略)

【y軸との交点】

x=0となるωは

$${ ω }^{ 2 }=\frac{3}{4.5}$$

$$ω=\sqrt { \frac{3}{4.5} } ≒0.8165$$

このωを①式のyに代入するとy=-1.05となる。(計算省略)

 

そして、これら4点を複素平面にまとめると、下図のようになります。

 

↑フォロワーのMitsuru様に書いていただきました。ありがとうございます!

ちなみに僕の雑なナイキスト線図はお蔵入りになりました笑

見たい方はどうぞ。多分笑いますよw

 

というわけでω=0から∞に向かっていくと(-1,j0)を左に見ていることが分かりますよね。

え?分からない?んーもう少し分かりやすいのを用意しましょうか。

OKでしょうか?

というわけで左に見ているのでこの制御系は安定と言えます。

sをjωにしてからの計算量が物凄く多いですが、時間さえあれば解けるかと思います。

計算スピードをこの単元で磨く様に心がけたいところです。

電験2種はほんとスピード勝負なので・・・。

 

次回はラウスの安定判別!古典制御も終盤ですね。

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Posted by Lese