RLC直列回路・電力
RLC直列回路・電力
RLC直列回路とは抵抗とコイルとコンデンサが直列に繋がっている下図のような回路です。
今回はコイルもコンデンサも[H]・[F]単位ではなく[Ω]単位なので特に単位変換はしなくてOKです。
さて、交流回路では回路全体の抵抗のことをインピーダンス(Z)と呼びます。
この回路のインピーダンスZは
Z=30+j60-j20
Z=30+j40(Ω)
$$\left| Z \right| =\sqrt { { 30 }^{ 2 }+{ 40 }^{ 2 } } \\ \left| Z \right| =\sqrt { 2500 } \\ \left| Z \right| =50(Ω)$$
となります。
ベクトル図で表すと
これの虚数成分を足し合わせて
このようになってこれの大きさは対角線で表せるので
このようになります。
勿論、回路全体を流れる電流I=V÷Zで求められるので
200(V)÷50(Ω)=4Aとなります。・・・が!
この4Aという数字だけでは、電流が電圧に対して進んでいるのか遅れているのか分かりません。
それを知るためにはインピーダンスを50Ωという大きさで扱うのではなくZ=30+j40(Ω)
という風に虚数も含めた形で扱う必要があります。
$$I=\frac { 200 }{ 30+j40 } \\ I=\frac { 200(30-j40) }{ (30+j40)(30-j40) } \\ I=\frac { 6000-j8000 }{ 2500 } \\ I=\frac { 12-j16 }{ 5 } \\ I=2.4-j3.2$$
ということでこれをベクトル図に表すと
このようになり、電流は電圧より遅れていることが分かります。
一応、電流が遅れか進みかを判断するのは実は簡単で
・インピーダンスが電圧より進みなら、電流は電圧より遅れる
・インピーダンスが電圧より遅れなら、電流は電圧より進む
このようになっています。
交流回路の電力
交流回路の電力は大きく分けて3種類あります。
抵抗が消費する電力を有効電力
コイルやコンデンサが消費する電力を無効電力
有効電力と無効電力のベクトル合成をしたものが皮相電力
となっています。
公式は以下の通りです。
3つとも単位が違うのが面白いですね。
さて、電力の求め方は様々あるのですが、いくつかパターンを伝えておきます。
\({I}^{2}R\)で解く場合
有効電力は抵抗で消費される電力なので、
$${ 4 }^{ 2 }×30\quad =\quad 480[W]$$
となります。
無効電力は
$$コイル:4^{ 2 }×60\quad =\quad 960[var]\\ コンデンサ:4^{ 2 }×20\quad =\quad 320[var]$$
この二つの電力がお互い打ち消し合って、960-320=640[var] となります。
皮相電力は
電流の2乗×インピーダンスなので
$${ 4 }^{ 2 }×50\quad =\quad 800[V・A]$$
となります。
ベクトル図は以下のようになっています。
力率を使って解く場合
力率はインピーダンスに対する抵抗の割合でcosθで表されます。
上記の公式より、cosθが分かることでsinθも分かります。
この回路ではインピーダンスが50Ωで抵抗が30Ωなので、
$$cosθ=\frac { 30 }{ 50 } =0.6\\ { 0.6 }^{ 2 }+{ sin }^{ 2 }θ=1\\ 0.36+{ sin }^{ 2 }θ=1\\ { sin }^{ 2 }θ=0.64\\ sinθ=0.8$$
という風cosθとsinθが分かります。
この事より
皮相電力=200×4=800[V・A]
有効電力=200×4×0.6=480[W]
無効電力=200×4×0.8=640[var]
という風に3つの電力が求まります。
電力は様々な求め方がありますが、一つの求め方だけを覚えていると他のパターンが出てきたときに対処できない。ということもありますので、複数の解き方を覚えておくとよいでしょう。