コイル(L)を含んだ回路

2018年12月10日

SATの電験3種講座

コイルについて

交流回路でのコイルは抵抗と似たような働きをします。

ただし、交流回路の基礎でも話した通りコイルが回路に出現することで、電流と電圧に位相差ができます。(電圧に対して遅れたり進んだりするということ)

まずは下図のような回路があったとしましょう。

5[H]と書かれているのはコイルの特性を示すインダクタンスというものであり、これを見つけたらまず最初に[Ω]という単位に変換するのが鉄則です。

 

point!

$$コイルの抵抗[Ω]=jωL$$

$$ω=2πfなので$$

$$コイルの抵抗[Ω]=2πfL$$

※f=電源の周波数[Hz]

※L=コイルのインダクタンス[H]

この事より、コイルの抵抗は周波数に比例することを覚えておきましょう。

これを使って5[H]を[Ω]に変換すると、

j5×2×π×60×5

≒j1884[Ω]

という風になります。

ちなみに、回路上ではこのjは省略しますので

結果的にこの回路は下図のような回路になります。

計算するときにはこのjは省略しないように気を付けてください。

ではこのときの流れる電流iを求めてみましょう。

オームの法則より電流iは

10sinωt ÷ j1884 = -j0.0053sinωt

となります。

 

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ベクトル図

電源電圧を基準ベクトルとしたとき、

電流は-j0.0053sinωtとなって、虚数jがついてて-がついているので、

電流のベクトルは下向きとなります。

よってベクトル図で表すと

point!
このように電流が電圧より90°遅れることが分かります。(重要)

その様子をグラフで表すとこのようになります。

グラフを見れば分かるように、一瞬一瞬の時間帯で見ると電圧が10Vのとき、電流が0Aのときもあれば、電流が0.0053Aのとき電圧が0Vのときもあります。

このように交流回路では、電流も電圧も時間によって変化していることを必ず意識しておきましょう。

基本的には回路計算→ベクトル表現→グラフの順に考えるとうまく理解しやすいかと思います。

 

ここらへん怪しいという人は以下の図を参照してください。

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理論, 交流

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