交流回路の基礎
交流回路の基礎
交流回路は直流回路とは異なる以下のような2つの特徴があります。
・時間が経過することで、電流や電圧が周期的に変化する。
・電流や電圧はサインカーブを描くような変化をする。
では、実際に下図のような回路図を例に説明していきます。
まず、交流電源にv=10sinωtと書かれていますが、これは電圧の時間に対する関数です。
分かりやすく言うと、「時間に対して電圧はこのように変化しますよー」というものです。
詳しくは電気数学の三角関数で詳しく説明しますが、この関数をグラフに表すと以下のようになります。
時間によって+10V~-10Vまでの電圧の値をとることが分かります。
なので一瞬一瞬で見ると電圧が0Vで電流が全く流れないタイミングもあるということです。
ωt=0のときは0V
ωt=\(\frac{\pi}{2}\)のときは+10V
ωt=\({\pi}\)のときは0V
ωt=\(\frac{3\pi}{4}\)のときは-10V
ωt=\({2\pi}\)のときは0V
という風になってますね。
では、次に電流iについて考えてみましょう。
流れる電流iは直流回路で学んだオームの法則を使って求めます。
i=v÷Rなので、10sinωt÷2 を計算し、i=5sinωt となります。
では電圧のグラフと電流のグラフを重ねてグラフ化してみましょう。
ということで、電流も電圧と同じように時間によって+5A~-5Aまでの値をとることが分かります。
こんな風に時間に対して電流も電圧も変化するのが交流回路の大きな特徴になります。
電流と電圧のベクトル図
今回の電流と電圧のグラフは、どちらもsinωtとなっていて、位相差がありませんでしたが、こういった位相差を視覚的に分かりやすく表現するために以下の図のようなベクトル図を用いることが多いです。
例えば、v=sinωtでこれを基準ベクトルとして
i1=sin(ωt-30°) ⇐30°の進み
i2=sin(ωt+90°) ⇐90°の遅れ
をベクトル図で表すと
このようなベクトル図になります。
また、このページの最初の方に出てきた
この回路を電圧を基準ベクトルとしてベクトル図で表すと、以下のようなベクトル図になります。
位相差が無いので勿論電流も電圧も右向きになります。
交流回路ではこのように、時間に対して電流や電圧が変化する為、関数でそれを表したり、グラフで表したり、ベクトル図で表したり表現方法が直流回路に比べて豊富になってきて、ややこしい!無理!っていう人が増えてくると思います。
よって、交流回路の勉強をする前にこの辺りの電気数学の基礎を先に固めることが効率の良い勉強に繋がります。