電力円線図の円の大きさ
今回は個人的に重要度が低めの部類に入る単元です。「へぇ~そうなんだー。」くらいの気持ちで読んでもらえたらと思います。
電力円線図の円の大きさ
電力円線図の単元でも説明しましたが、電力円線図には下図のように受電端の円線図と送電端の円線図があります。
少し復習になりますが、下図のような三相3線式の短距離送電線路で、
受電端電力円線図の公式は
$${ \left( P+\frac { { RV_{ r } }^{ 2 } }{ { Z }^{ 2 } } \right) }^{ 2 }+{ \left( Q+\frac { X{ V_{ r } }^{ 2 } }{ { Z }^{ 2 } } \right) }^{ 2 }={ \left( \frac { { { V }_{ s }V }_{ r } }{ Z } \right) }^{ 2 }$$
送電端電力円線図の公式は
$${ \left( { P }_{ s }-\frac { { { RV }_{ s } }^{ 2 } }{ { Z }^{ 2 } } \right) }^{ 2 }+{ \left( { Q }_{ s }-\frac { X{ { V }_{ s } }^{ 2 } }{ { Z }^{ 2 } } \right) }^{ 2 }={ \left( \frac { V_{ s }{ V }_{ r } }{ Z } \right) }^{ 2 }$$
でした。\({P}_{s}{Q}_{s}\)については電力円線図のページを参照してください。
さて、今回はこの電力円線図のグラフの位置や半径について考えていきましょう。
送電線路のR,X,Zは一定であることを考えると、電力円線図の円の中心位置や半径は次の要素で決定することが分かります。
円の中心位置 | 半径 | |
受電端電力円線図 | \({V}_{r}\) | \({V}_{r}{V}_{s}\) |
送電端電力円線図 | \({V}_{s}\) | \({V}_{r}{V}_{s}\) |
ということで、ここからは\({V}_{s},{V}_{r}\)の比\(\frac { { V }_{ s } }{ { V }_{ r } } \)を使って二つの円がどういうグラフになるか見ていきましょう。
VsとVrの比を変化させて電力円線図を描く
条件として、R=2[Ω],X=4[Ω],Vr=6600[V]として電力円線図を見ていきます。また、遅れ無効電力を正として考えていきます。
\(\frac { { V }_{ s } }{ { V }_{ r } } \)=0.9のとき
すなわち、Vs<Vrのようなフェランチ効果がおきるような場合ですね。
こんな感じのグラフになります。(実は二つの円は接していません。)
\(\frac { { V }_{ s } }{ { V }_{ r } } \)=1.0のとき
すなわち、Vs=Vrのような場合ですね。
原点ピッタリで二つの円が接していることが分かります。
\(\frac { { V }_{ s } }{ { V }_{ r } } \)=1.1のとき
すなわち、Vs>Vrのような場合ですね。
こんな感じのグラフになります。(実は二つの円は接していません。)
さて、もう少し分かりやすくする為に、この3つの電力円線図を重ねてみましょう。
いやー非常に美しい!!惚れ惚れしますね。
と、まぁそれは置いといて・・・接点や円の中心をプロットして、もう少し分析してみましょう。
上図より、
ということが分かります。
「んでその知識をどう活かすの?」
と言われたらそれまでなのですが、そういう性質があるということを分かっていると方程式から電力円線図を作図するときの円の中心の位置を間違う事は無くなると思います。
実際、平成30年度の電力・管理で電力円線図を作図する問題が出題されていますので知識として知っておくと何か役立つかもしれません。
以上です!お疲れさまでした!