電磁誘導障害

2019年2月10日

この単元では、電磁誘導障害により通信線に誘起される電圧をどのように計算するかについて説明していきます。

とても簡単な単元だとは思いますが、出題頻度は平成9年・17年・24年という風に結構高いのでしっかりを押さえておかないといけない単元です。

電磁誘導障害の異常電圧の種類

電磁誘導障害で通信線に発生する異常電圧には

・通常時に発生する常時誘導電圧

・地絡などの事故時に発生する異常時誘導電圧

の二つがあります。どちらも計算はほぼ変わらないのですが、気をつけるべき部分があるので両方とも順に説明していきます。

 

常時誘導電圧

下図のように、三相の送電線があって各相に電流が流れているとします。

図の\({ \dot { M } }_{ a }{ \dot { M } }_{ b }{ \dot { M } }_{ c }\)はそれぞれ、abc相の電力線通信線との間の単位長さあたりの相互インダクタンスを示しています。

この相互インダクタンスが存在するということは、送電線を流れる電流によって、通信線に起電力が発生(電磁誘導)して、通信線に電磁誘導電圧(常時誘導電圧)\({ \dot { V } }_{ m }\)が発生するということです。

通信線にはa相とb相とc相からの誘導電圧のベクトル和の誘導電圧がかかるので、\({ \dot { V } }_{ m }\)は、角周波数をω[rad/s]として

$${ \dot { V } }_{ m }=jω{ M }_{ a }l{ \dot { I } }_{ a }+jω{ M }_{ b }l{ \dot { I } }_{ b }+jω{ M }_{ c }l{ \dot { I } }_{ c }$$

point!
$${ \dot { V } }_{ m }=jωl\left( { M }_{ a }{ \dot { I } }_{ a }+{ M }_{ b }{ \dot { I } }_{ b }+{ M }_{ c }{ \dot { I } }_{ c } \right) $$

となります。

また、この式から分かるように

$${ M }_{ a }{ \dot { I } }_{ a }+{ M }_{ b }{ \dot { I } }_{ b }+{ M }_{ c }{ \dot { I } }_{ c }=0$$

のときのみ電磁誘導電圧が0となります。

零相電流を\({ \dot { I } }_{ 0 }\)として、\(3{ \dot { I } }_{ 0 }={ \dot { I } }_{ a }+{ \dot { I } }_{ b }+{ \dot { I } }_{ c }=0\)だったとしても\({ M }_{ a }={ M }_{ b }={ M }_{ c }\)でなければ誘導電圧が0にならないことに気を付けましょう。

零相電流についてはこちらのページで詳しく説明しています。

 

異常時誘導電圧

次に下図のようにa相で1線地絡事故が発生したときのことを考えます。

(今回は説明の都合上、各相と通信線の相互インダクタンスを同じとしています。)

このとき、図のようにa相に零相電流の3倍の電流が流れるので、このとき通信線に発生する電磁誘導電圧(異常時誘導電圧)\({ \dot { V } }_{ m }\)は角周波数をω[rad/s]として

point!
$${ \dot { V } }_{ m }=jωMl×{ 3\dot { I } }_{ 0 }$$

となります。

また、このときのような異常時に流れる電流\({ 3\dot { I } }_{ 0 }\)起誘導電流と呼びます。

 

※この起誘導電流は、平成9年の問題文で出ている用語なのですが、起誘導電流を\({ \dot { I } }_{ 0 }\)として出題していて、通信線の異常時誘導電圧が

$${ \dot { V } }_{ m }=jωMl×{ \dot { I } }_{ 0 }$$

となっています。

先ほどの公式と比較すると3が消えてて、「えっ!?意味不明!!」なことになるのでしっかりと区別するように気をつけてください。

要するに…

point!
\({ \dot { I } }_{ 0 }\)が零相電流なのか起誘導電流なのか見極める

ことが大事です。ちょっとしたことですがほんとに気を付けてください。僕はこの用語の違いで1週間くらい混乱状態でした。

というわけでスカスカな内容な感じがしますが、基本はこれだけでOKです。

以上になります!お疲れ様でした!

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Posted by Lese