電力系統の周波数変動
この単元では、電力系統における周波数変動と電力の関係を説明していきます。なるべく図を用いてイメージしやすい説明をしていきますので頭にイメージを思い浮かべながら読んでいただけたらと思います。
電力系統
電力系統というのは下図のように発電→変電→送電→配電の一連のシステムのことを言います。
電力は発電所から生まれ、”色んなとこ”を通って需要家に届きます。今回はこの”色んなとこ”を省略して発電側と負荷側に着目します。
電力の需要と供給
さて、既にご存知だと思いますが、負荷側で消費する電力はリアルタイムで発電所から届いている電力です。なので、昼間のように多くの人が電力を使う時間帯はたくさん発電していますし、真夜中のような電力があまり使われない時間帯はあまり発電していません。
すなわち・・・発電所は僕たち需要家がどれだけ電力を使うかをある程度先読みして発電しているってことです。すごいですよね。
下のグラフは、一日の変動する需要に対する需給運用の例です。
上のグラフを見ると分かることですが、常に電力の需要と供給が一致しています。(重要)
真夜中は、負荷の需要より多めに発電して、余った電力で揚水してエネルギーを蓄え、昼のピーク時に備えていることなどもグラフから読み取れますね。
さて、電力の需要と供給のバランスが一致していれば何も問題がないのですが・・・このバランスが崩れると電力系統の周波数に変化がおこります。どういうことかというと・・・
発電機は下図のようにエネルギーが入力>出力のとき、回転速度が上がり周波数が増加します。
当然ながら、エネルギーが入力<出力のとき、回転速度が下がり周波数が減少します。
入力を供給、出力を需要と考えれば、電力の需要と供給のバランスが周波数に影響を及ぼすことが分かるかと思います。
また、負荷側は周波数が増加することで消費電力が増加し、周波数が減少することで消費電力が減少する性質があります。
ややこしいので一度ここまでの事をまとめておきます。
周波数増加→負荷の消費電力が増加して均衡する。
周波数減少→負荷の消費電力が減少して均衡する。
負荷減少による周波数増加→調速機が働き、発電電力を減らして均衡する。
負荷増加による周波数減少→調速機が働き、発電電力を増やして均衡する。
このように発電側も負荷側も周波数の変動に応じて均衡するように出来ているので、うまく需要と供給がバランスするわけですね。(うまいこと出来てますよね!)
さて、ある程度イメージが付いたと思うので、ここから計算の話に移りましょう。
周波数特性定数
発電機の周波数特性定数
電力の需要と供給のバランスが一致しているとき、周波数変動\(Δf\)に対して、発電側の電力が\({ΔP}_{G}\)変化して、均衡したとき、
$$Δ{ P }_{ G }=-{ K }_{ G }・Δf$$
となり、このときの\({K}_{G}\)を発電機の周波数特性定数と言います。
公式に-がつく理由は、周波数が増加したとき、発電電力が減少して均衡することから分かるはずです。
負荷の周波数特性定数
また、周波数変動\(Δf\)に対して、負荷側の消費電力が\({ΔP}_{L}\)変化して、均衡したとき、
$$Δ{ P }_{ L }={ K }_{ L }・Δf$$
となり、このときの\({K}_{L}\)を負荷の周波数特性定数と言います。
こちらの公式は周波数が増加したとき、負荷の消費電力が増加して均衡することから分かるはずです。
この単元の説明は以上になります。この単元の練習問題として平成18・23年度の問題がありますので、是非是非自力で解いてみてください。
ちなみに、ここまでに説明した話の応用として、系統連系というものがあるのですが、ここで学んだ考え方を基本として考えるとそれほど難しくないはずです。どこかのタイミングでまた纏めようと思っています。
というわけで、お疲れ様でした!