ブロック線図
ブロック線図
ブロック線図・・・入力信号が出力信号に至るまでの流れを表したもの。
また、ある信号A(s)からある信号B(s)に至る際、\(\frac{B(s)}{A(s)}\)をA(s)からB(s)の伝達関数と呼びます。
文字だけだとややこしいので、まずは具体例を見てみましょう。
例題1.(ブロック線図の基本)
下図のようなブロック線図でX(s)=3としたときのY(s)、及びX(s)からY(s)の伝達関数を求めよ。
考え方ですが、入力X(s)に3を入れると、これが5倍されて、Y(s)=15となります。
また、X(s)からY(s)の伝達関数は
$$\frac { Y(s) }{ X(s) } =\frac { 15 }{ 3 } =5$$
以上より、5となります。まぁ、入力が5倍されてるだけなんで当たり前ですよね。
こういう風にブロックを通ると、その中の値の分だけ掛けられます。簡単でしょ?
では、ドンドン進んでいきましょう。
例題2.(直列結合)
下図のようなブロック線図でX(s)=3としたときのY(s)、及びX(s)からY(s)の伝達関数を求めよ。
はい、2倍して-3倍してY(s)=-18です。簡単ですよね。
また、X(s)からY(s)の伝達関数は
$$\frac { Y(s) }{ X(s) } =\frac { -18 }{ 3 } =-6$$
以上より、-6となります。まぁ、これも2倍して-3倍しているだけなんで当たり前ですよね。
ちなみに例題2のブロック線図を簡単にするとこのようになります。
以上のことから以下が成り立ちます。
直列に繋がっている場合、ブロック線図を簡単にするためにはブロックを掛ければいいということです。
簡単すぎですか・・・?では、ちょっと難しくしましょう。
例題3(並列結合)
下図のようなブロック線図でX(s)=5としたときのY(s)、及びX(s)からY(s)の伝達関数を求めよ。
この場合はX(s)=5が上にも下にも流れていき、2倍された10と3倍された15が足しあわされて、Y(s)=25となります。また、伝達関数は
$$\frac { Y(s) }{ X(s) } =\frac { 25 }{ 5 } =5$$
以上より、5となります。これはもとの数を2倍したものと3倍したものを足しているから結局5倍しているということですね。
ちなみに、
念の為、例題解いておきましょうか。
【例題】
このような場合はX(s)=5のときY(s)=+10-15=-5となります。
ちなみに二つ上の図、例題3のブロック線図を簡単にするとこのようになります。
以上の事から以下が成り立ちます。
並列に繋がっている場合、ブロック線図を簡単にするためにブロックを足してやればいいということですね。
それでは最後!フィードバック結合というのをやってみましょう。最後なので実践的に文字を使って表してみます。
例題4.(フィードバック結合)
下図のようなブロック線図でX(s)からY(s)の伝達関数を求めよ。
こういう場合はまず、伝達関数を求めることから始めましょう。
ポイントは
ただこれだけです。またこのポイントは複雑なブロック線図の伝達関数を求めるときにも使える技なのでしっかりと習得してください!
それでは左端のX(s)から右に進んでいきましょう。
X(s)は最初に下から来る符号を反転させたものと合流しています。これはY(s)にB(s)を掛けて符号を反転させたものになるので、合流後は
$$X(s)-Y(s)B(s)$$
となります。次に、これをA(s)倍したものがY(s)となるので、
$${ \left\{ X(s)-Y(s)B(s) \right\} }×A(s)=Y(s)$$
という風になりここから\(\frac{Y(s)}{X(s)}\)を作るイメージで式変形をして伝達関数を求めればOKです。
$$X(s)A(s)-Y(s)B(s)A(s)=Y(s)$$
$$X(s)A(s)=Y(s)+Y(s)B(s)A(s)$$
$$X(s)A(s)=Y(s)\left\{ 1+A(s)B(s) \right\} $$
$$\frac { Y(s) }{ X(s) } =\frac { A(s) }{ 1+A(s)B(s) } $$
という風に伝達関数が分かりました。
これまでの流れから薄々気付いている方もいらっしゃいますが、
よって、以下が成り立ちます。
フィードバック(出力が戻ってくる部分)は基本的に-であることがほとんどですが、たまに+野郎が出てきます笑→その場合は伝達関数のA(s)B(s)の符号が-になるので気を付けてください。
すごく見落としやすいです…。僕も何度か引っかかりました。
今回のように入力に戻ってくる信号が
-で反転している場合はネガティブフィードバック
+で反転していない場合はポジティブフィードバック
と呼ぶみたいです。
知っておくと便利な伝達関数
これ以降は電験2種で非常によく出題される形で、覚えておくだけで時間短縮に繋がる伝達関数の公式をまとめておきます。
2自由度制御系の外乱
★D(s)からE(s)の伝達関数は
$$\left\{ D(s)+E(s)C(s) \right\} G(s)×(-1)=E(s)$$
これを解いて
★D(s)からY(s)の伝達関数
$$\left\{ D(s)-Y(s)C(s) \right\} G(s)=Y(s)$$
これを解いて
目標値R(s)から偏差E(s)
★R(s)からE(s)の伝達関数
$$\left\{ R(s)-E(s)A(s)B(s) \right\} =E(s)$$
これを解いて
ポジティブフィードバックかネガティブフィードバックかで分母のA(s)B(s)の符号が反転するので注意。
というわけでブロック線図おしまいです!お疲れさまでした。恐らくここまで読了できた方はかなりブロック線図に詳しくなっているかと思います。
ちなみに、この単元における電験2種の古典制御では
・ブロック線図を簡略化する能力
・伝達関数を求める能力
が求められます。特に式変形を確実にできるようにすることは古典制御で得点するために必須の条件です。
というか、ここの式変形を間違えると後の定常偏差を求める問題などなど色々な問題の失点に繋がります。それだけ伝達関数というものは問題を解く上で非常に大切なものなのです。それをしっかりと意識しておきましょう。