速度調定率を用いた計算
速度調定率を用いた計算
速度調定率の公式は負荷変化前後の各要素を下の表のように定義すると
負荷変化前 | 負荷変化後 | |
出力 | \({P}_{1}[{kW}]\) | \({P}_{2}[{kW}]\) |
回転速度 | \({n}_{1}[{min}^{-1}]\) | \({n}_{2}[{min}^{-1}]\) |
周波数 | \({f}_{1}[{Hz}]\) | \({f}_{2}[{Hz}]\) |
$$速度調定率:R=\frac { \frac { { n }_{ 2 }-{ n }_{ 1 } }{ { n }_{ 1 } } }{ \frac { { P }_{ 1 }-{ P }_{ 2 } }{ { P }_{ 1 } } } ×100=\frac { \frac { { f }_{ 2 }-{ f }_{ 1 } }{ f_{ 1 } } }{ \frac { { P }_{ 1 }-{ P }_{ 2 } }{ { P }_{ 1 } } } ×100[%]$$
このように回転速度と周波数は比例しているので、回転速度の式は周波数の式に変化させることができます。
よって、速度調定率を用いた計算をする際は、
練習問題
【問題】
定格周波数50[Hz]、定格出力40000[kW]、速度調定率4[%]に水車発電機\({G}_{1}\)と定格周波数50[Hz]、定格出力20000[kW]、速度調定率5[%]の水車発電機\({G}_{2}\)とが50[Hz]の電力系統に接続され、両機とも定格出力、定格周波数で並列運転を行っている。
その後、負荷の一部が脱落して両発電機の合計出力が46000[kW]に変化し、安定運転を行った。
負荷脱落の前後で、両発電機の調速機に調整を加えないものとして負荷脱落後の\({G}_{1}\),\({G}_{2}\)の出力[kW]と系統周波数f[Hz]を求めよ。
(平成16年電力管理より 一部改題)
【解き方】
問題文がややこしいのでまずは各要素を下図のように定義します。
速度調定率の公式は基本的に分子が回転速度の式ですが、この問題には回転速度に関する値が何も分からないので周波数の式で計算する必要があります。
よって、
$$4=\frac { \frac { f-50 }{ 50 } }{ \frac { 40000-{ P }_{ 1 } }{ 40000 } } ×100…①$$
$$5=\frac { \frac { f-50 }{ 50 } }{ \frac { 20000-{ P }_{ 2 } }{ 20000 } } ×100…②$$
①式と②式より
$$4×\frac { 40000-{ P }_{ 1 } }{ 40000 } =5×\frac { 20000-{ P }_{ 2 } }{ 20000 } $$
$$4(40000-{ P }_{ 1 })=10(20000-{ P }_{ 2 })$$
$$40000-{ P }_{ 1 }=50000-2.5{ P }_{ 2 }$$
$$-{ P }_{ 1 }+2.5P_{ 2 }=10000…③$$
問題文より負荷変化後の合計出力が46000[kW]なので
$${ P }_{ 1 }+{P}_{ 2 }=46000…④$$
③式と④式の連立方程式を解いて
$$\begin{cases} { P }_{ 1 }=30000[kW] \\ { P }_{ 2 }=16000[kW] \end{cases}$$
という風に負荷変化後の各発電機の出力が求まります。
次に、これを①式に代入すると
$$4=\frac { \frac { f-50 }{ 50 } }{ \frac { 40000-30000 }{ 40000 } } ×100$$
$$4=\frac { 2(f-50) }{ \frac { 1 }{ 4 } } $$
$$4=8(f-50)$$
$$4=8f-400$$
$$8f=404$$
$$f=50.5[Hz]$$
という風に負荷変化後の周波数が求まります。
ともかく、速度調定率の公式を回転速度と周波数の両方で使えるようにしておくのがポイントになってきますのでそれを頭にいれておきましょう。