フェランチ効果

2018年12月10日

ちょっと今回は番外編。フェランチ効果について詳しく知りたいという方からメッセージを頂いたので僕の知っている知識をまとめてみようと思います。

フェランチ効果

フェランチ効果は、送電側(電源側)の電圧より受電側(負荷側)の電圧の方が高くなる現象です。

例えば、6600Vで送電しているのに受電側では7000Vになってる!!!っていう感じですね。

この時点で「えっ?電源より負荷の方が電圧大きくなるなんてことおきるの?」って思った方の為に以下の例のような回路を挙げます。

この回路のインピーダンスは30+j40で大きさは50Ωですね。

なので回路全体を流れる電流は2Aとなり、以下の図のようになります。

はい。もうお分かりだと思いますが、電源より負荷の方が大きな電圧がかかることもあることが分かりましたね。

 

余談ですが、火力発電所で生まれる電圧も最初は3600Vみたいな感じの低い電圧ですが、送電前に変圧器で昇圧して50万Vとか25万Vになってから送られています。最初から大きな電圧ではありません。

 

フェランチ効果がおきない普通の場合

さて、話を戻しましょう。

電気を送るときには送電線を使いますが、その送電線は抵抗の成分とコイルの成分を含んでいてRL直列回路とみなすことができます。

図で表すとこんな感じです。

そして、一般的な大きな建物ではこの負荷として、モーターや蛍光灯などの誘導性(コイルの成分)の機器がのってきます。

モーターとして使うもの
換気扇、空調機器、揚水・雨水・湧水・汚水ポンプ、熱源の冷却水ポンプなど

図で表すとこんな感じです。

この回路はまぁ・・・RL直列回路ですよね。ということは流れる電流は電源電圧に対して遅れ成分となり、遅れ力率になります。

※V÷(R+jωL)をすると虚数成分が負の数になるので遅れですよね。

というわけで、一般的には負荷は遅れ力率になることがほとんどなのです。(これ大事)

なので、この遅れ力率を改善するために進み電流を流す必要があります。

進み電流を流したければ、コンデンサを使えばいいですよね。このときの力率改善用のコンデンサを電力コンデンサと呼びます。

というわけで電力コンデンサを投入すると、遅れ電流を進み電流でいくらか打ち消し合い力率改善ができます。(ただし、進み力率にならないようにします)

通常(昼間などの重負荷時)は、こんな感じで送電線を流れる電流が遅れ力率になります。

だいぶ前置きが長くなりましたが、ここからはベクトル図の話です。頑張りましょう。

今、

$$送電電圧{ V }_{ S }\quad =\quad IR\quad +\quad jωLI\quad +\quad { V }_{ R }$$

となります。

この送電電圧Vsを今からベクトル図で表します。

最初に、受電電圧(VR)を基準とすると、電流はIは勿論それより遅れていますので、

このようになります。

送電線の抵抗にかかる電圧IRはIのベクトル方向に実数を掛けているので、Iと平行なベクトルとなります。また、送電線のコイルにかかる電圧jωLIはIのベクトル方向に90°進んだ虚数成分を掛けているので、Iに比べて90°進んだ方向のベクトルとなります。

というわけでこのようになります。

$$送電電圧{ V }_{ S }\quad =\quad IR\quad +\quad jωLI\quad +\quad { V }_{ R }$$

でしたので、Vsのベクトル図は

このようになり、電源側の電圧の方が大きくなることが分かります。

※大小関係は線の長さで見ましょう。

ここまで分かればフェランチ効果はすぐに理解できます。

フェランチ効果がおきる場合

フェランチ効果は、夜間のようなモーターや電灯も使わないような軽負荷時におこります。先ほどの昼間の重負荷時は

こんな回路でしたが、夜間に負荷が減ってきて、軽負荷時に電力コンデンサが投入されていたとすると、極端ですが下図のような回路になります。

送電線のコイル成分は電力コンデンサの成分に対して微々たるものなので当然、進み力率になります。この状態で先ほどと同じように送電電圧をベクトル図で表していきます。

先ほどと同じく

$$送電電圧{ V }_{ S }\quad =\quad IR\quad +\quad jωLI\quad +\quad { V }_{ R }$$

となります。

この送電電圧Vsをベクトル図で表します。

最初に、受電電圧(VR)を基準とすると、電流はIは勿論それより進んでいますので、

このようになります。
送電線の抵抗にかかる電圧IRはIのベクトル方向に実数を掛けているので、Iと平行なベクトルとなります。また、送電線のコイルにかかる電圧jωLIはIのベクトル方向に90°進んだ虚数成分を掛けているので、Iに比べて90°進んだ方向のベクトルとなります。
というわけでこのようになります。
$$送電電圧{ V }_{ S }\quad =\quad IR\quad +\quad jωLI\quad +\quad { V }_{ R }$$
でしたので、Vsのベクトル図は
このようになり、Vs(電源側)の方が電圧が低くなりました。(図ではあまり分からないけど笑)

まとめ

すごーく長い話になりましたが、結局フェランチ効果がおこる理由は、進み力率で流れる電流によって送電線のコイル成分で-の電圧が発生するから。というイメージで僕は理解しています。上の図でいうωLIの部分ですね。VRに対して完全に逆行してますよね笑

ベクトル図が入ることでかなり理解しにくい分野だと思いますが、やはり理論の単元でベクトル図をしっかりマスターしておくことが大切であると再認識しました。

あと、なるべく初学者でも分かりやすいように、かなり噛み砕いて説明しましたが、これでも分からない場合は連絡していただければ色々とお答えします。

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Posted by Lese