水力発電の負荷遮断試験
負荷遮断試験
負荷遮断試験とは水車発電機の運転中に負荷が急に遮断された際に、水車の回転速度や発電機の電圧や鉄管内の水圧の変動値が安全許容値を超えることなく無負荷運転に移行できるかを確認する試験のことです。
電験2種ではこれまでに電圧上昇率、速度変動率、水圧変動率、速度調定率を求める問題が度々出題されています。(平成12年,平成20年)
①電圧上昇率
$$電圧上昇率:{ \delta }_{ v }=\frac { { V }_{ max }-{ V }_{ i } }{ { V }_{ n } } ×100[%]$$
\({V}_{n}[kV]\):定格電圧
\({V}_{max}[kV]\):試験時の発電機の最大電圧
\({V}_{i}[kV]\):試験時の発電機の遮断前の電圧
②速度変動率
$$速度変動率:{ \delta }_{ n }=\frac { { n }_{ max }-{ n }_{ i } }{ { n }_{ n } } ×100[%]$$
\({n}_{n}[{min}^{-1}]\):定格回転速度
\({n}_{max}[{min}^{-1}]\):試験時の水車の最大回転速度
\({n}_{i}[{min}^{-1}]\):試験時の水車の遮断前の回転速度
①も②もほぼ似ていますね、定格分の最大-遮断前って感じですね。
③水圧変動率
$$水圧変動率:{ \delta }_{ H }=\frac { { h }_{ max }-({ z }_{ 1 }-{z}_{r}) }{ ({ z }_{ 1 }-{z}_{2}) } ×100[%]$$
\({h}_{max}[{m}]\):鉄管の最大水圧
\({z}_{1}[m]\):水車停止時の上部水位
\({z}_{2}[m]\):水車停止時の放水路水位
\({z}_{r}[m]\):水車停止時の水車中心の水位
※水圧を水頭で換算している為単位が[m]になっています。
水頭で表していてややこしい公式ですが、分母が有効落差というイメージをもっておくと覚えやすいかも。詳しくは下図を参照。
④速度調定率
$$速度調定率:R=\frac { \frac { { n }_{ f }-{ n }_{ i } }{ { n }_{ n } } }{ \frac { { P }_{ i }-{ P }_{ f } }{ { P }_{ n } } } ×100[%]$$
\({P}_{n}[{kW}]\):定格出力
\({P}_{i}[{kW}]\):負荷遮断前の出力
\({P}_{f}[{kW}]\):負荷遮断後の出力
\({n}_{n}[{min}^{-1}]\):定格回転速度
\({n}_{f}[{min}^{-1}]\):負荷遮断後の回転速度
\({n}_{i}[{min}^{-1}]\):負荷遮断前の速度
小分数の分子は大-小のイメージで。回転速度は遮断後の方が大きく、出力は遮断前の方が大きいのでそれを覚えていれば混乱しないはず。