過渡現象
過渡現象
過渡現象・・・電源のスイッチをONにしたりOFFにしてから、定常状態になるまでの電流や電圧が変化する現象
定常状態・・・回路に流れる電流や電圧が一定で特に変化が無い状態。
過渡状態・・・回路に流れる電流や電圧が時間に対して変化している状態。
例えば以下のような回路があったとしましょう
この回路のSWをONにすると当然I=2Aとなりますが、そのときの電流の変化は以下のグラフのようになります。
いきなり2Aには勿論上がりません。このように徐々に変化している状態が過渡現象が起きている過渡状態で、電流値が一定となって何も変化がおきない状態が定常状態です。
電験3種では、過渡現象についてコイルとコンデンサの特徴と時定数をおさえておけばほとんどの問題が解けますので、その3点について説明していきます。
RL直列回路での過渡現象
抵抗(R)とコイル(L)を直列に接続した回路をRL直列回路と呼びます。
下図のような回路です。
コイルには以下の性質があります。必ず覚えましょう。
・電流の変化を妨げるはたらきがある。(レンツの法則)
・この妨げるはたらきは、始めは強いが徐々に弱まる。
・この妨げるはたらきはコイルのインダクタンス(H)が大きければ大きいほど強くなる。
さて、この性質を頭に入れた上で、上の回路のSWをONにすると電流がどんなグラフを描くか考えましょう。
結果は以下のグラフのようになります。
というわけで、始めはコイルのはたらきで電流が流れにくいのですが、徐々に電流が流れやすくなり、最終的にはコイルのはたらきが無くなり、10Ωの抵抗が電源に繋がっているだけの回路になります。なので最終的に2Aの電流が流れています。
また、定常状態になるまでの63.2%に達する時間を時定数と呼び、コイルのインダクタンスが大きければ大きいほど長くなります。また、この回路の時定数は \(\frac{L}{R}\) です。(暗記)
RC直列回路での過渡現象
抵抗(R)とコンデンサ(C)を直列に接続した回路をRC直列回路と呼びます。
下図のような回路です。
コンデンサには以下の性質があります。必ず覚えましょう。
・始めは0Ωの抵抗だが、電流が流れ電荷がたまることで、どんどん抵抗が大きくなる。
・最終的にはコンデンサの部分に電流が流れなくなる。
さて、この性質を頭に入れた上で、こちらの回路もSWをONにすると電流がどんなグラフを描くか考えましょう。
結果は以下のグラフのようになります。
いきなり2Aから始まっていますが、実は0Aから2Aに上がるまでの時間は一瞬の話なのでここでは省略しています。
始めはコンデンサのはたらきが全くなく、10Ωの抵抗が電源に繋がっているだけの回路になります。なので2Aの電流が流れていますがコンデンサに電荷がたまることで、徐々に電流が流れなくなり、最終的には0Aになります。
またRC回路もRL回路と同じく、定常状態になるまでの63.2%に達する時間を時定数と呼び、コンデンサの静電容量が大きければ大きいほど長くなります。また、この回路の時定数はRC です。(暗記)
まとめ
回路に電流を流したとき
コイルは初めは電流を妨げるはたらきをするが、徐々にそのはたらきが弱まる。
コンデンサは初めは何もしないが、徐々に電流を妨げるはたらきをする。
コイルとコンデンサって正反対の関係って感じがしますよね。交流回路でもコイルとコンデンサは正反対のような感じの性質がよく出てきますので、そういうイメージで覚えておきましょう。
また、過渡現象は直列回路で起こる現象ですので、交流回路ではまた違った電流のグラフになりますので、問題で直流か交流かをしっかりと見極めるようにしてください。